日常を無駄にカッコよく表現するシリーズ①
目を閉じて深呼吸をする。
潮の香りと太陽の匂いが混じり合う。
微かに初夏を感じながら、目を開けるとそこには瀬戸内の多島美が悠然と広がっている。
どこまでも続く蒼い空と海が、何も変わらない淡々とした「日々」という時間を洗い流すように全てを優しく包み込む。
大自然の雄大さに自分という存在の小ささを思い知らされながら、舵を取る船の針路に朧に人生を重ねているのだろうか。
その面もちは、何処と無く哀愁を漂わせている。
ふりかえると、白銀に光る航跡が、穏やかな水面に立つ緩やかな波に儚く揺れている。
時の流れの中で、景色は漫然と移り変わり、今日の業も終わりを向かえようとしている。
太陽は海面に金色の海路を映し出しながら、颯爽と走るその雄姿を静かに讃えていた。
終